海外FX業者では、メタトレーダー(Meta Trader)と呼ばれる取引プラットフォームを採用しているところがほとんどです。
日本国内の業者は、それぞれ自社開発したオリジナルのプラットフォームを提供しています。
メタトレーダーにはバージョンが2つ、MT4(エムティー4)とMT5(エムティー5)があります。バージョンの違いについても後で説明しています。
これからFXを始める方、海外FX業者を利用するのが初めての方の中にはメタトレーダーを知らない方も多いと思いますので、基本的なところから説明していきます。
メタトレーダー(MT)とは
MetaTrader(MT)は、外国為替証拠金取引投資家が利用する電子取引プラットフォームである。MetaQuotes Softwareによって開発され2005年にリリースされた。
Wikipediaより
メタクォーツ(MetaQuotes)社は2000年にロシアで設立された会社です。今では全世界に拠点を持ち、日本にも現地法人を持っています。
2005年にリリースされてから標準プラットフォームとして採用するFX業者が増えていき、今ではほとんどの海外FX業者がMT4/MT5を採用しています。世界中のプロトレーダーもMT4/MT5を使用しています。
MT4/MT5は取引プラットフォームですので、基本機能としては、チャートを表示させ、トレードを行うことができます。
ツールとしての特徴は以下のとおりです。
MT4/MT5の特徴
- 50種類以上のテクニカル指標を標準搭載しており自由に利用可能
- オリジナルのテクニカル指標を作成、利用できる
- 複数のチャートを同時に表示可能
- EA(自動売買ツール)を作成、利用できる
- 1つインストールするだけで複数のFX業者に切り替えて使用できる
- PC版だけでなくスマホアプリもある
他にも色々ありますが、とにかく非常に高機能です。
スマホアプリもそこそこ機能充実しており、複雑なテクニカル分析を行わないのであればスマホアプリだけでトレードが完結してしまいます。
なぜ海外FX業者はメタトレーダーを採用するのか
ずばり、自社オリジナルプラットフォームを開発するぐらいなら、他のサービス向上策に投資を回した方がいいからです。
プラットフォームは一度開発すると終わりではなく、継続的に品質を見直し、OSのバージョンアップや機能追加など、投資を継続する必要があります。
一方で、多くのFX業者が2000年中盤以降に誕生したのを見てもわかるように、この時点ですでにメタトレーダー(MT4/MT5)が浸透していましたので、FX業者としてのビジネスを垂直に立ち上げる手段としてもメタトレーダー(MT4/MT5)を採用するのがベストだったのです。
機能的にも不足はありませんし、不具合等はメタクォーツ社が責任を持って対応します。
ユーザーが多くコミュニティも多数あり情報収集には困りません。メタトレーダーを採用しない理由が無いのです。
メタトレーダーの種類について
メタトレーダーには以下のバージョン、対応プラットフォームがあります。
PC | スマホアプリ | |||
Windows | Mac OS | iOS | Android | |
MT4 | ○ | × | ○ | ○ |
MT5 | ○ | × | ○ | ○ |
Mac OS版はオフィシャルには提供されていません。
Mac OSからWindows版を稼働させるには、仮想化ソフト(Parallels Desktop)やWindows OSのインストール(Boot Camp)、VPSサービスの利用など、いくつか方法はあります。
ただ、海外FX業者によっては独自にMac OS版をリリースしていますので、そちらを利用しても問題ありません。
MT4とMT5の違いは
MT4は2005年、MT5は2010年にリリースされました。
MT5の方が新しいわけですが、MT4はいまだに使われ続けています。MT5が完全上位互換というわけではなく、以下のような違いがあります。
どちらが優れているというわけではありません。特徴を押さえて自分にあったプラットフォームを選択しましょう。
MT4 | MT5 | |
リリース | 2005年 | 2010年 |
時間足 | 9種類 | 21種類 |
標準搭載のインジケーター | 30種類 | 38種類 |
カスタムインジケーター | 多い | 少ない |
動作可能なEA | 多い | 少ない |
採用業者 | 多い | 少ない |
動作 | 普通 (32bit/シングルスレッド) | 速い (64bit/マルチスレッド) |
時間足
MT5はかなり細かく設定できます。特に分足。
スキャルピングやデイトレードを行う方には良いと思います。
MT4:
- 1分足、5分足、15分足、30分足
- 1時間足、4時間足
- 日足、週足、月足
MT5:
- 1分足、2分足、3分足、4分足、5分足、6分足、10分足、12分足、15分足、20分足、30分足
- 1時間足、2時間足、3時間足、4時間足、6時間足、8時間足、12時間足
- 日足、週足、月足
画面上、クイックに選択できる時間足は同じですが、MT5の場合はメニューのチャート→時間足設定から細かく設定変更できます。
逆にいうと、クィックに選択できるものが、一般的によく利用される時間足です。私個人的にも、MT4で充分足りています。
気配値
MT5の方はプライスボードの表示ができます。
複数の通貨ペアのレートが一目で確認でき、プライスボード画面から発注も行うことができます。
カスタムインジケーター、EA
メタトレーダーはMQLという言語に対応しており、標準搭載のインジケーターに加えてカスタムインジケーターを作成することができます。
また、EA(自動売買ツール)も作成可能です。
世界中のトレーダーが作成したインジケーターやEAを入手し、自分のメタトレーダー上で動作させることができます。
入手ルートはいくつかあるのですが、主にはMQLフォーラムのマーケットプレイスにて入手可能です。有料のもの、無料のもの、色々あります。
なお注意点として、MT4とMT5のインジケーターやEAは共有できません。
数としては、MT4対応のものの方が圧倒的に多いです。
マーケットプレイスに公開されているインジケーターとEAをざっと数えてみたのですが、
MT4: 約16,000
MT5: 約5,400
圧倒的にMT4の方が多いです。
これは、MT4の方が先にリリースされたからというだけでなく、コミュニティの多さ、カスタマイズのしやすさ等から、多くのトレーダーはMT4プラットフォーム上で動作するものを好んで作成してきました。
こういったインジケーター、EAを活用したい方にとってはMT4の方が有利です。
MT4とMT5のログインユーザーは共有可能か
共有できません。
各業者とも、口座開設時にプラットフォームを選択しますが、途中変更はできません。
もしプラットフォームを変えたい場合は、新しく口座を開設しなおす必要があります。
多くの業者が追加口座の開設に対応しています。本人確認が完了している場合、追加口座開設時には本人確認は不要です。
PC版とスマホアプリ版について
PC版の方が高機能です。
画面が大きいので、複数のチャートを開いたり、何種類ものインジケーターを同時に表示させることができます。
またPC版の方はMT4/MT5を複数インストールすることができますので(ちょっとコツがいりますが)、異なる業者の口座を同時に開くこともできます。
スマホアプリはPC版に比べると機能が少なく、また画面の大きさの制約から複数チャートを開いたりすることはできないですが、様々なインジケーターも用意されていますし、トレードに困ることはありません。
どのトレーダーも通常は両方をインストールし、うまく使い分けて利用しています。
それぞれの基本的な用途を整理してみました。
ざっくり言うと、PC版は各種分析+トレード、スマホ版はトレード中心です。
PC版:
- 各種インジケーターを利用してのテクニカル分析
- トレンドラインや図形の描画機能を活用したチャート分析
- 複数のチャートを同時に確認(場合によってはモニター増設)
- カスタマイズインジケータの導入と活用
- EAツールの稼働
- 注文、ポジションの確認、クローズ
スマホアプリ版:
- チャートの基本的な確認、分析
- 注文、ポジションの確認、クローズ
各FX業者の採用状況
私がこのブログで紹介した各業者のプラットフォーム採用状況です。
MT4 | MT5 | MacOS版有無 | |
---|---|---|---|
XM | ○ | ○ | ○ |
FXGT | - | ○ | ○(※1) |
FBS | ○ | ○ | ○ |
GEMFOREX | ○ | - | ○ |
HotForex | ○ | ○ | ○ |
TitanFX | ○ | ○ | ○ |
LAND-FX | ○ | ○ | ○ |
Axiory | ○ | ○ | ○ |
Tradeview | ○ | ○ | ×(※2) |
iFOREX | - | - | - |
TMGM | ○ | - | × |
※1:2021年にMacOS対応開始
※2:cTraderで代替可能
前項で触れたMacOS版の対応状況についてもあわせてまとめてみました。
対応していない業者や、対応していてもMacOS版は一部機能制限があったりするようです。注意してください。
ちなみに、iFOREXだけがMT4もMT5も採用していません。
なぜでしょうか?
答えは簡単です。iFOREXが創業した1996年にはメタトレーダーがこの世になかったからです。
iFOREXは老舗中の老舗です。創業から一貫して、自社開発した独自のプラットフォーム(FXNetView)を提供してきました。
相当な投資額と努力だったと思います。
MT4がリリースされた2005年時点ですでに創業から10年経過しており、自社プラットフォームも熟成していたと想像されますので、この時点でMT4を新たに採用する、ましてや自社プラットフォームを捨てるという選択肢はなかったのでしょう。
それでもiFOREXは今でもトレーダー数を伸ばしていますので、彼らの自社プラットフォームにも彼らなりの強みがあると言えます。
インストールの前に
インストールですが、注意点として、PC版のMT4/MT5は各FX業者の公式サイトからダウンロードしてください。
理由としては、各社にてカスタマイズがされており、特に接続先サーバについては各社のものが事前に登録された状態になっているからです。
メタクオーツ社の公式サイトからダウンロードしたものだと、検索してもサーバが出てこない場合があります。
その場合にはIPアドレスを登録するなどしなければならず、非常に手間です。
カスタマイズされているといっても、サーバ情報が予め登録されているというだけで、他の機能はすべて同じです。
なお、スマホアプリについては各社の違いはありません。
App Store、Google Playからダウンロードしてインストールします。
PC版について、各FX業者のダウンロード先をまとめてみました。
XM
トップページ → プラットフォーム
FXGT
トップページ → MT5
FBS
トップページ → 取引 → 取引プラットフォーム
GEMFOREX
トップページ → プラットフォーム
>>GEMFOREXの公式サイトからメタトレーダーをダウンロード
HotForex
トップページ → フッターメーニューのプラットフォーム
>>HotForexの公式サイトからメタトレーダーをダウンロード
TitanFX
トップページ → テクノロジー → プラットフォーム
>>TitanFXの公式サイトからメタトレーダーをダウンロード
LAND-FX
トップページ → プラットフォーム
>>LAND-FXの公式サイトからメタトレーダーをダウンロード
Axiory
トップページ → プラットフォームとツール → プラットフォーム
>>Axioryの公式サイトからメタトレーダーをダウンロード
Tradeview
TradeViewは、口座開設の案内メールに記載されているURLからダウンロードします。
>>Tradeviewの公式サイトからメタトレーダーをダウンロード
TMGM
トップページ → TRADING PLATFORMS
インストールと使い方について
別記事にまとめています。
スマホアプリについてはこちらの記事をご覧ください。
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