毎年11月と3月には、欧州、アメリカなどが標準時間と夏時間(DST)を切り替えます。
日本市場の取引時間帯は変わりませんが、各国の市場の取引時間や、重要な経済指標等の発表時間が変わりますので注意が必要です。
え、FXって24時間取引できるって聞いたんだけど? と思われた方もいらっしゃると思います。
この記事ではそんな方向けに以下のような内容を説明していきます。
- そもそもFXはどこで取引されているのか
- 取引時間って何? 気にする必要あるの?
取引時間を正しく把握していないと、場合によってはリスクをきちんと回避できずに大損することもあります。
この記事でしっかり理解してください。
FXはどこで取引されているのか
そもそもFXはどこで取引されているのでしょう??
FX取引所? 銀行? 証券会社??
株の場合は証券取引所があります。
日本であれば東京証券取引所(JPX)、アメリカはニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQ、イギリスにはロンドン証券取引所(LNE)、香港なら香港証券取引所(HKEx)があります。
証券取引所には営業時間があります。
東京証券取引所であれば、朝9時から15時(午後3時)まで。
途中1時間の昼休みがありますので、この間の5時間しか取引ができません。
当然、東京証券取引所にも世界中の投資家が参加しますが、東京時間の9時~15時しか取引に参加できません。
つまり、世界中の投資家は時差を考慮して参加しています。
FXも似ていますが、FXは株式市場と違い、物理的な取引所が存在しません。
世界中の金融機関をネットワークで接続した電子的な取引所のイメージです。
言い換えると、FXは世界で1つの取引所だと思ってください。
FXは世界中で取引されていますが、株式市場のように、主要な市場があります。
このうち、世界の3大FXマーケットと言われているのが、ロンドン、ニューヨーク、東京です。
物理的な取引所がありませんから、これは何を指すかと言うと、時間帯です。
ニューヨークの金融機関や投資家が多く参加するのがニューヨーク時間帯、東京であれば東京時間帯です。
日付変更線の関係で、東京→ロンドン→ニューヨークの順番で、主要な(盛り上がる時間帯の)市場が西に移動するイメージです。
日付変更後、一番最初にオープンするのがオセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)の市場です。
土日に何か大きなニュースがあった場合、週明け月曜日に真っ先に反応するのがオセアニア市場なので、ロンドン、ニューヨーク、東京の3大市場にオセアニアを加えた4市場の時間帯を押さえておく必要があります。
FX市場はいつオープンしているのか
24時間やっています。
土日祝日は除きます。
ただ、国に依存する祝日の場合には、その国の金融機関等の機関投資家が参加しないので市場が閑散とするだけで、FX取引自体はやっています。
んー、じゃあいつ取引したらいいの? となると思いますが、これは後から説明しますが、閑散としている市場だとトレードが不利(コストが高くなる)になりますので、先程の主要市場の時間帯だけ押さえておけば良いです。
その時間帯に取引すればいいです。
1点、日本以外は夏時間(サマータイム)と標準時間(冬時間)がありますので、そこは注意する必要があります。
また、夏時間の切り替えタイミングは各国により異なります。
ちょうどこの時期(2020年11月)、9月~11月上旬にかけては各国の夏時間が終了したり、南半球のオセアニアではこれから夏時間になったりしますので、ちょっとややこしいです。
以下が、4大マーケットにおける夏時間の期間です。
国(マーケット) | 夏時間(DST)の期間 |
---|---|
アメリカ | 3月第2日曜日~11月第1日曜日 |
ヨーロッパ | 3月最終日曜日~10月最終日曜日 |
ニュージーランド | 9月最終日曜日~4月第1日曜日 |
オーストラリア | 10月第1日曜日~4月第1日曜日 |
日本 | 実施なし |
オセアニアについては、南半球にあるため「夏」時間の定義がアメリカやヨーロッパとは反対です。
また、ニュージーランドとオーストラリアでも時期が異なりますのでなおさらややこしいです。
土日や祝日についてですが、土日は原則市場はお休みです。
祝日は、祝日の国の金融機関が市場に参加しませんので、その時間帯は市場が閑散としますが、取引はできます。
但し、クリスマスと元旦は別で、世界中の市場はクローズします。
ここは注意が必要です。
各市場の取引時間について
各市場の取引時間をわかりやすくまとめました。
GMT(グリニッジ標準時間)をベースに作成しています。
日本の時差はGMT+9時間です。日本時間を基準にしたときには、ざっくり、月曜日の朝7時~土曜日の朝7時、とおぼえておくといいです。
物理的な取引所の営業時間ではないので、いろいろなサイトにより時間の説明が微妙に違いますが、あまり気にしなくていいです。
何度も言いますが、取引時間=盛り上がる時間帯、です。
東京市場も、サイトによっては7~15時だったり9~17時だったりしますが、気にしなくていいです。
各市場の特徴と注意点
各市場には取引の傾向や特徴があります。
取引時間と合わせてこれらを把握しておきましょう。
オセアニア時間
日本時間の朝6時からやってますので、兼業トレーダーの方にとっては本業の会社の始業前にトレードできる時間帯なのですが、実はあまりおすすめしません。
オセアニア市場は市場参加者が少なく、スプレッドが広がる傾向があります。
但し、土日に何か大きなニュース(戦争やテロ、大きな政変など)があった場合、月曜日に最初に開くのがオセアニア市場ですので、真っ先に市場が反応し価格が大きく動くことがあります。
東京時間
日本時間の日中時間帯です。
東京だけでなく、中国、香港などのアジア圏の投資家も参加する時間帯です。
金融大国である香港の金融機関も参加しますので、流通量の大きな市場のひとつです。
日本は貿易大国、特に輸入が多い国でもありますが、ゴトー日とよばれる5の倍数の日に、決済のために米ドルが買われ、ドル高方向に価格が動く傾向があります。
これは実需からくる相場の傾向です。
ロンドン時間
ロンドンの日中時間帯で、日本だと17~25時ぐらいになります。
ロンドン時間帯にはユーロドル、ポンドドルなどの欧州通貨が活発に取引されます。
ちなみに、世界中で最も取引量が多い通貨ペアはユーロドルで、主にロンドン時間帯に取引されます。
欧州通貨ペアをメインで取引される方は、ロンドン時間帯を狙っている方が多いと思います。
ロンドン時間帯には欧州の主要な経済指標が発表されますので、それにも注意が必要です。
ロンドン時間帯に大きな発表があるということは、日本時間の夜間に価格が大きく動くということですので、ポジションを持っている方は注意が必要です。
ニューヨーク時間
ニューヨークの日中時間帯で、日本だと22時~翌朝6時くらいになります。アメリカ市場からの参加者が増える時間帯です。
ロンドン時間とかぶる時間帯があるのですが、ここは値動きが活発になる傾向があります。
ロンドン時間帯の値動きを踏まえ、アメリカのトレーダーが大きく仕掛けてくることがあります。
ニューヨーク時間が始まった瞬間に、それまでのロンドン時間帯の動きと真逆に動き始めることがあり、注意が必要です。
ロンドン時間帯同様、この時間帯にはアメリカの経済指標が発表されます。
雇用統計等の経済指標だけでなく、要人発言(FOMA)でも価格が大きく動くことがありますが、ロンドンと違いニューヨーク時間帯は完全に日本の深夜~早朝なので、毎日起きているわけにはいかないのが難しいところです。
発表日と時間帯はしっかりチェックしておくとともに、重要な指標の前にはあらかじめポジションを整理しておくなどと対応が必要です。
なお、なぜ市場参加者が少ないとスプレッドが広がる(=コストが高くなりトレードが不利になる)のかについては、別記事も参照してください。
他にも注意しないといけないこと
市場ごとの特徴と注意点は前述のとおりですが、他にも注意点があります。
各国の夏時間/標準時間の切り替えタイミングの違いに注意
トレード時間帯はそれほど気にする必要はないのですが、気をつけるべきは経済指標等の発表時間です。
重要な指標や要人発言の前後1~2時間は相場が大きく動くことが多いのですが、夏時間の切り替えを忘れていて思ってたより早く相場が動き始め、ポジション整理が間に合わず大損するリスクもあります。
経済指標については様々なサイトやFX業者によっては公式サイトに載せていたりしますが、私は以下のサイトが便利で使っています。参考までに。
Economic Calendar
https://www.babypips.com/economic-calendar
商品によって取引可能な時間が違う
通貨ペアはだいたい24時間トレードできますが、その他のCFDなどは取引時間が決まっています。
株価指標はその株式の国の取引時間になります。
またオイルやメタル等によっても違います。オイルなどの先物については、決済日(現月)も決まっています。
仮想通貨は24時間、かつ土日祝日もトレード可能です。
商品別の取引時間は、ほとんどのFX業者の公式サイトに載っていますが、載せていないところもあります。
載せていないところは、メールで案内が来たりします。
また、MT4/MT5で確認することもできます。気配値の商品部分を右クリックし、「仕様」を選ぶと、この商品の取引時間がわかります。
MT4/MT5の気配値表示エリアで、取引時間を調べたい商品を選択し、右クリック→詳細。
取引条件の詳細情報が表示される。下の方に取引日時が表示されている。
FX業者により違う
基本、どこも24時間トレード可能(但し商品によりますが)ですが、システムメンテナンスの都合などにより数分~1時間程度の停止時間があります。
たいていは日本のちょうど早朝時間帯なので、日本にお住まいの方はあまり意識しなくて良いかもしれません。
詳細は各FX業者の公式サイトで確認できます。
また、夏時間/標準時間の切り替え前には、お知らせのメールが届きます。
お知らせメールが届いたら念の為確認しておきましょう。
取引が少ない時間帯はスプレッドが広がる
市場参加者が少ないとスプレッドが広がります。
早朝や土日にMT4/MT5を開いてみるとわかるのですが、とんでもなく広がっています。
取引が成立しにくいということです。
こういう時間帯にはトレードしてはいけません。
月曜朝の東京市場に注意
土日に大きなニュースがあった時はもちろん、前週金曜日のニューヨーク市場の終わり方によっては、月曜日朝の東京市場オープン直後に大きく価格が動くことがあります。
東京市場はロンドンやニューヨークに比べると比較的のんびりとしたおとなしい市場と言われていますが、月曜朝は要注意です。
取引時間を考慮した場合のおすすめの運用方法
これまで説明してきた取引時間帯や市場の特徴、注意点などを踏まえ、私は以下のような運用方法をおすすめします。
原則、翌週にポジションを持ち越さない
週明けに価格が大きく動くことが多いです。
土日に大きなニュースがあった場合だけでなく、前週の取引を踏まえ、月曜朝イチでプロトレーダーが仕掛けてくることがあります。
普段は閑散としているオセアニア市場でさえ、ごくたまにそういったことがあるため、別名「魔のオセアニア市場」と呼ばれているぐらいです。
それを狙ったトレード手法もあるのですが、初心者のうちは金曜日中にすべてのポジションを決済しておくことをおすすめします。
利益が出ている場合には欲張らずに利確。
含み損の場合は月曜日にプラ転することを期待してどうしても持ち越したくなってしまいますが、週明けに大きく逆行するリスクもあります。
思い切って損切りしておくことを考えてください。
スプレッドの広い時間帯には取引しない
市場参加者が少ない時にはスプレッドが広がります。
取引コストが高くなりトレードが不利になりますので、こういう時にはトレードしないようにしましょう。
重要指標の前後ではポジションに注意
特に初心者のうちは、重要指標の発表や要人発言前後では、できるだけポジションを持たない方がいいです。
紹介したような経済指標サイトなどでは各指標の予測値なども出ていますが、指標が良い(例えば失業率が改善)からと言って関連通貨が値上がりするとは限りません。
プロトレーダーは常にアマチュアトレーダーの心理の裏を突いてきます。
心配であればできるだけ重要指標の前後ではポジションを持たないか、ストップロスの設定を浅めにしておくことをおすすめします。
各海外FX業者の取引時間一覧
最後に、各海外FX業者の取引時間の一覧を載せておきます。
商品別の取引時間については各業者の公式サイトをチェックしてみてください。(各業者別の取引時間の調べ方を別記事にまとめていく予定です)
海外FX業者 | 取引時間 (GMT+0) | 日本時間換算 (上段:標準時間/下段:夏時間) |
---|---|---|
XM | 日曜22:05~金曜21:50 | 月曜7:05~土曜6:50 (月曜6:05~土曜5:50) |
FXGT | 日曜22:05~金曜21:55 | 月曜7:05~土曜6:55 (月曜6:05~土曜5:55) |
FBS | 日曜22:00~金曜21:59 | 月曜7:00~土曜6:59 (月曜6:00~土曜5:59) |
GEMFOREX | 日曜22:10~金曜21:50 | 月曜7:10~土曜6:50 (月曜6:10~土曜5:50) |
HotForex | 日曜22:00~金曜21:59 | 月曜7:00~土曜6:59 (月曜6:00~土曜5:59) |
TitanFX | 日曜22:01~金曜21:59 | 月曜7:01~土曜6:59 (月曜6:01~土曜5:59) |
LAND-FX | 日曜22:05~金曜22:00 | 月曜7:05~土曜7:00 (月曜6:05~土曜6:00) |
AXIORY | 日曜22:04~金曜21:58 | 月曜7:04~土曜6:58 (月曜6:04~土曜5:58) |
Tradeview | 日曜22:00~金曜21:55 | 月曜7:00~土曜6:55 (月曜6:00~土曜5:55) |
iFOREX | 日曜22:05~金曜21:00 | 月曜7:05~土曜6:00 (月曜6:05~土曜5:00) |
各海外FX業者の取引時間の調べ方
具体的な取引時間は、それぞれの海外FX業者の公式サイトで調べることができます。
業者によって調べ方が少し違ってきますので、それぞれ別記事にまとめましたので参考にしてください。
公式サイトで公開していない業者もあります。
その場合は前述のとおり、取引ツール(MT4/MT5)から確認するか、サポートに問い合わせてみてください。
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