【プロフィール】にも書いたとおり、2016年にタイに来るまでは私も日本国内のFX業者を使っていました。(メインはSBI FX)
日本国外に住居を移してしまうと、国内業者では取引できないどころか口座開設すらできないので、しょうがなく海外FX業者の調査を始めました。
正直、最初は胡散臭いなと思ってました。
だって、レバレッジ500倍なんて当たり前、1000倍や3000倍なんてのもありますし、追証なし、ボーナスも豪華、、、これって詐欺なんじゃないの?と。
実は、詐欺に遭ったことあります。完全なヤミ業者でした。
本ブログの主旨から外れますので詳しくは書きませんが(というか思い出したくない・・・)、が故に、自分なりに色々と調べ、本当に大丈夫そうなところだけ使っています。
結論としては、海外業者だからといって使っているトレーダーが罰せられるわけではないし、特徴をしっかり押さえてうまく使っていけばいいと思ってます。
本記事では、海外FX業者に興味はあるものの、本当に大丈夫なのか、と疑問をお持ちの方向けに、国内業者と比較してみることでその特徴やメリット、デメリットを認識してもらうことを目的としています。
なお、海外FXとは?については別記事でまとめてありますのでこちらも参考にしてください。
最初に結論を申し上げます。
海外FXだからといって怪しいことはありません。
日本国居住者以外の海外の人は、全員「海外FX」を使っています。
極論すると、日本人だけが、日本のFX業者だけが安全で特別だと思っているのです。
具体的に見ていきましょう。
海外FX業者と国内FX業者の違い
まずは比較表を見ていきましょう。
結構違いがありますね。
海外FX | 国内FX | |
取引方式 | NDD方式 | DD方式 |
スプレッド | STP:広め ECN:狭い | 狭い |
取引プラットフォーム | MT4/MT5中心 | 各社オリジナル |
最大レバレッジ | 500~3000倍 | 25倍(一律) |
ゼロカットシステム | あり | なし |
追証 | なし | あり |
管轄当局 | 登録国の金融当局 | 日本の金融庁 |
入出金手段 | 多様 | ほぼ銀行送金のみ |
税率 | 15~55% (累進課税) | 20.315% (申告分離課税) |
他にも取り扱い銘柄の数・種類や、ロスカット/マージン・コールの基準、ボーナスの有無などありますが、これは国内/海外の違いというよりも業者によって違ってきますので、ここでは取り上げません。
では順を追って見ていきましょう。
取引方式
DDとはDealing Deskの略で、トレーダーの注文を受けるディーラーのことを言います。
DD方式とはその名のとおり、ディーラーを介して市場と取引する方式。
NDDとはNon Dealing Deskの略で、ディーラーを通さず直接市場と取引する方式を言います。
NDDは別名A-Book、DDはB-Bookと呼ばれることもあります。
国内業者はDD方式、海外業者はNDD方式と理解して良いと思います。
それぞれ、どちらが有利とか合法だとかいうことではなく、特徴があります。海外業者がNDDだからリスクが高い、という人もいますが、それは正しい理解ではありません。
DD方式(国内FX業者):
- スプレッドが狭い
- ディーラーの裁量が大きい
NDD方式(海外FX業者):
- 約定力が高い
- スプレッドが広め(STPの場合)
DD方式は、ディーラーの裁量が大きいです。
極論すると、インターバンクに注文を流さず、ディーラー内で注文を相殺してしまうことも可能です。これが、DD方式は不透明だと言われる理由です。
え、国内FX業者の方が不透明なの?!と思われた方も多いと思います。
そうなんです。処理方式だけ見ると、国内FX業者は実はそうなんです。
NDD方式は、FX業者からインターバンクにすべて注文が流されますので、約定しないということがないです。一方で、Bid/Askのスプレッドの差をFX業者の手数料として徴収しますので、スプレッドが広くなります。
なお、NDD方式の中にも、STP(Straight Through Processing)方式とECN( Electronic Communications Network)方式に分かれており、上記の変動スプレッドはSTP方式で採用されています。
ECNとは海外FX業者すらも通さずにインターバンクに注文を流すイメージで、この場合はFX業者はスプレッド自体には手数料を乗せず、処理を流す手数料として別途徴収します。
ですので、ECN方式のスプレッドはとても狭いです。
0.0pipsとかもあります。
手数料が片道いくらとか往復くらとかいうのはこれのことで、注文発注時(売り/買い)と決済時(クローズ)にそれぞれ手数料が徴収されます。
だいたい、往復で5~7ドル(片道2.5~3.5ドル)のことが多いです。
海外業者は手数料の高さ(スプレッドの広さ)ばかりがクローズアップされますが、ECN方式を上手に利用すれば、国内業者並みの手数料の安さで、かつハイレバレッジやゼロカットなどのメリットを享受することができます。
スプレッド
前述の説明のとおりで、取引方式により決まってきます。
国内=狭い、海外=広い、というわけではありません。
なお、NDD方式(STP)においては、市場の流動性(≒トレーダーの参加状況)により、スプレッドが変わります(変動性)。プライスボードを眺めているとスプレッドが目まぐるしく変わるのがわかります。
流動性が極めて低い時間(例えば日本時間の早朝)など、スプレッドがものすごく広い(=トレーダーがほとんどいない)ですので、こういう時はトレードしてはいけません。
スプレッドに関しては別記事に詳しくまとめていますので参考にしてください。
スプレッドとは何か、なぜスプレッドは広がるのかなどの基本的な話から、スプレッドの狭い(手数料の安い)海外FX業者をランキング形式で並べています。
取引プラットフォーム
海外FX業者はメタトレーダー(MT4/MT5)と呼ばれるプラットフォームを採用している業者がほとんどです。
MT4/MT5から各業者に開設済みの自分の口座にログインすることにより、同じプラットフォームを用いて各業者でトレードを行うことができます。
国内業者はすべて、自社で開発したオリジナルのプラットフォームを提供しています。業者が変わるとプラットフォームが変わりますので、業者を乗り換えた、あるいは複数業者に口座をお持ちの方はそれぞれの使い方をマスターしなければなりません。
なお、メタトレーダーとは何かご存知ない方は、別記事にまとめていますので参考にしてください。
最大レバレッジ
最大の特徴です。
海外業者には制約はありません。最低でも400~500倍、最高だと3000倍とか、あります。少ない資金でより大きな利益が狙えるということです。
国内業者は最大25倍です。これは金融庁が決めています。25倍以上はありません。
実は国内業者もかつては400倍のレバレッジが可能でした。それが規制により段階的に引き下げられています。
私がFXを始めた2010年頃はちょうど50倍に引き下げられた頃でした。
2011年には現在の25倍になりましたが、近い将来、更に10倍に下げる措置が検討されています。
投資家保護、がその理由ですが、一方で、ハイレバレッジだからリスクは高い、というわけではありません。
勘違いしやすいのですが、同じロットを取引するならハイレバレッジの方がより少ない資金で済みますが、同じロットであれば市場の価格変動に対して増減する損益はまったく同じです。
ハイレバレッジを正しく理解し、リスクをきちんと考慮した上でできるだけ安全にトレードすることが重要です。
ゼロカットシステム、追証
これも最大の特徴です。
強制ロスカットが間に合わないような市場価格の大きな変動があった場合に、口座残高がマイナスになることがあります。
国内業者ではマイナス分の支払いは絶対に行わなければいけませんが、海外業者はその必要がなく、残高がゼロリセットされます。これをゼロカットシステムと呼びます。
追証は、名前のとおり追加で証拠金を入れること、を指します。
強制ロスカット発生時のマイナス残高の補填とはちょっと意味が異なっており、ポジション保有時に含み益が発生し証拠金維持率が規程よりも下がった場合にFX業者から追加の入金を求められることを言います。
追証を求められても追加入金できない場合、すべてのポジションは強制決済されます。
海外業者の場合は追証を求められません。
強制ロスカットの水準は各社で決まっていますが(20%が多い)、証拠金維持率がそれに達するまでは追証なしでギリギリまで耐えます。
証拠金維持率を下回った場合、もっともロット数の多いポジションから順次強制決済され、証拠金を回復させます。
国内業者の場合、金融庁管轄にある金融商品取引法という法律で、ゼロカットの採用が明確に禁じられています。
海外業者は金融庁監督配下にありませんから、ゼロカットシステムを採用することができています。
もっとも、損失を出さないにこしたことはないのですが、ゼロカットシステムが採用されている、追証がないというのは、心の余裕度がまったく異なります。
管轄当局
海外業者はそれぞれ様々な国でFX事業者として登録し、各国金融当局の許認可を取得しています。
日本国内業者はすべて、日本の金融庁の認可を得ています。
各国とも基準の違いはあれど、きちんとした審査、承認プロセスがなされています。馴染みののない国の許認可なのでそれだけで怪しい、ということにはなりません。
入出金手段
国内業者はほぼ銀行送金のみです。
ただし、ここ数年でネット銀行への対応も進んでおり、ネット上で操作すると即時入金されたりします。(出金は相変わらず数営業日かかりますが)
海外業者は銀行送金だけでなく、クレジットカード、電子マネー、仮想通貨、送金サービス等、様々な手段に対応しています。
これは、日本国内業者が、日本国内に拠点を構え、日本に居住する人を対象にしているのに対し、海外業者は世界中のトレーダーを相手にしているからです。
対象としている国すべてに拠点を置き、その国の金融当局の許可を得、銀行に法人口座を開設し、各銀行と接続すれば、日本のようなサービスが提供できますが、マーケットが広すぎてそうはいきません。
我々日本人にとっては使い勝手の悪い面もありますが、各業者の入出金手段、手数料等を踏まえ、より便利でお得な方法を利用するしかないです。
税率
ここもポイントになります。
日本の場合は税法で、税率は一律20.315%と決まっています。また、確定申告をすることで、過去の損失を翌年に繰り越すことができます。
海外業者の場合、総合課税といって、取得した利益の額によって税率が変わります。総合課税率は最低5%、最大45%です。これに、住民税が一律10%加算されます。つまり、15%~55%です。
年間所得(1年間で儲けた額)が330万円を超えるのであれば、日本居住者にとっては国内業者が圧倒的に有利です。
所得(利益-経費) | 税率(総合課税 +住民税10%) | 控除額 |
~195万円 | 15% | 0円 |
195~330万円 | 20% | 97,500円 |
330~695万円 | 30% | 427,500円 |
695~900万円 | 33% | 636,000円 |
900~1,800万円 | 43% | 1,536,000円 |
1,800~4,000万円 | 50% | 2,796,000円 |
4,000万円~ | 55% | 4,796,000円 |
所得とは利益-経費で計算されます。
FX取引にかかった経費は控除することができます。
例えば勉強のために購入した書籍代、セミナーに参加した場合には参加費用や交通費は経費として計上できます。
領収書やレシートはきちんととっておきましょう。
海外業者の場合は、得られた利益が大きくなればなるほど、税率が高くなります。
総所得が330万円を超えるまでは海外業者の方が税金が安くすみます。
但し、総合課税の場合には所得には海外FXの利益だけでなく、その他の所得、例えば兼業トレーダーの方であれば給与所得も合算してから税率が決まりますので、そこは注意が必要です。
海外FXを使う方は、ハイレバレッジやボーナスを活用した高利益を狙うトレーダーだと思いますので、経費計上などの節税対策をしっかり行った上で、正しく納税しましょう。
なお、法人口座が認められている海外FX業者であれば、法人を設立し、法人口座でトレードすると、総合課税ではなく法人税が適用され、また様々な控除や節税対策が使えますので、ぐっと税金を抑えることができます。
専業トレーダーになったり、またかなり利益を上げるようになってきたら、是非法人設立を検討してください。
まとめ
海外業者だからといって怪しい、危ない、といったわけではありません。
これまで使い慣れていた国内業者との違いを理解し、自分なりにリスクを評価した上で、それでもなおメリットがあると思えるのであれば、その中で自分のトレードスタイルに合ったベストな業者を選択することが重要です。
海外FX業者のそれぞれの特徴、徹底比較とおすすめ業者については別記事をご覧ください。
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